中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について
株式会社YMACは、国が創設したM&A支援機関登録制度の登録を受けている支援機関であり、中小企業庁が定めた「中小M&Aガイドライン(第3版)」(令和6年8月)を遵守していることを、ここに宣言いたします。
株式会社YMACは、中小M&Aガイドラインを遵守し、下記の取組・対応を実施しております。
記
○支援の質の確保・向上に向けた取組
- 依頼者との契約に基づく義務を履行します。
- 善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって仲介業務・FA業務を行います。
- 依頼者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図りません。
- (仲介者の場合)いずれの依頼者に対しても公平・公正であり、いずれか一方の利益の優先やいずれか一方の利益を不当に害するような対応をしません。
- 契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として、依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応を行います。
- 代表者は、支援の質の確保・向上のため、①知識・能力向上、②適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識しており、当該取組が重要である旨のメッセージを社内外に発信しています。また、発信したメッセージと整合的な取組を実施します。
- 知識・能力の向上のため実効性のある取組を実施しています。
- 支援業務を行う役員や従業員における適正な業務を確保するための取組を実施しています。
- 業務の一部を第三者に委託する場合、外部委託先における業務の適正な遂行を確保するための取組を実施しています。
○M&Aプロセスにおける具体的な行動指針
【意思決定】
- 専門的な知見に基づき、依頼者に対して実践的な提案を行い、依頼者のM&Aの意思決定を支援します。その際、以下の点に留意します。
- 想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明します。
- 仲介契約・FA契約締結前における相談者の企業情報の取扱いについても、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っていることを自覚し、適切に取扱います。
- 仲介契約・FA契約締結に向けて行う広告・営業については、以下の規律を遵守した上で、適切に実施します。
※なお、広告・営業の実施にあたっては、職業倫理の遵守が求められるほか、仮に、過去の対応状況や頻度等に照らして、広告・営業先の中小企業の事業活動や経営者の生活に多大な支障を与えるような過剰なものである場合には、民法上の不法行為責任を負う可能性もあることに留意する。
- 広告・営業先からM&Aの実施意向がない旨、仲介契約・FA契約を締結しない旨又は引き続き広告・営業を受けることを希望しない旨の意思(以下「停止意思」という。)を表示された場合には、停止意思を拒まず、ただちに広告・営業を停止します。
- 広告・営業先から停止意思の表示があった場合については、その内容を組織的に記録し、共有します。
- 停止意思を表示した者に対し、仮に広告・営業を再開する場合には、慎重に検討の上、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。
- 広告・営業先の中小企業の意思決定を適切に支援する観点から、下記のような広告・営業は行いません。
- 当社の名称、勧誘を行う者の氏名、仲介契約・FA 契約の締結について勧誘する目的である旨を告げずに行う広告・営業
- 仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定の上で必要な時間を与えず、即時の判断を迫る広告・営業
- M&Aの成立の可能性や条件等の仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定に影響を及ぼす事項について、虚偽若しくは事実に相違する又は誤認を招くような広告・営業(例えば以下)
- 譲り受け(譲り渡し)の意向が無い企業若しくはその意向を確認していない企業又は実際には存在しない企業に関して、譲り受け(譲り渡し)の意向があると偽り又はそのように誤認させるもの
- 譲渡額の水準について過大なバリュエーションを提示するもの
- 譲り渡し側(譲り受け側)の財務状況、今後の見通し等の情報について、事実に相違する、又は実際のものよりも優良であり、若しくは有利であると誤認させるもの
- その他M&A の成立の可能性やその条件について確定的な判断を下すもの
【仲介契約・FA契約の締結】
- 業務形態の実態に合致した仲介契約あるいはFA契約を締結します。
- 契約締結前に、依頼者に対し仲介契約・FA契約に係る重要な事項(以下(1)~(17))を記載した書面を交付する等して、明確な説明を行い、依頼者の納得を得ます。
- 譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と契約を締結し双方に助言する仲介者、一方当事者のみと契約を締結し一方のみに助言するFAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)
- 提供する業務の範囲・内容(バリュエーション、マッチング、交渉等のプロセスごとに提供する業務の範囲・内容)
- 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績
- 手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等)
- 手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等)
- (仲介者の場合)相手方の手数料に関する事項(算定基準、最低手数料、支払時期等)
- 秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等)
- 直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される候補先や交渉目的の範囲等)
- 専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)
- テール条項(テール期間、対象となるM&A等)
- 契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等)
- 契約の解除に関する事項及び依頼者が、仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する場合には、当該中途解約に関する事項
- 責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等)
- 契約終了後も効力を有する条項(該当する条項、その有効期間等)
- (仲介者の場合)両当事者間において利益の対立が想定される事項
- (譲り渡し側への説明の場合)譲り受け側に対して実施する調査の概要(調査の実施主体、財務状況に関する調査、コンプライアンスに関する調査、事業実態に関する調査等)
- (譲り渡し側への説明の場合)業界内での情報共有の仕組みへの参加有無(参加していない場合にはその旨)
- 手数料・提供する業務の内容や相手方の手数料に関する事項については、以下に沿って説明します。
- 手数料に関する事項を明確に説明するとともに、当該手数料を対価として自らが提供する業務の内容を説明します。具体的には成功報酬において採用される報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等の手数料の算定基準や提供する具体的な業務の内容について書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。
- 提供する業務については、「M&Aのプロセス」ごとにどういった業務を提供するのか整理(各プロセスにおいて業務を提供しない場合には、その旨も含む。)を実施の上、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明します。具体的にはガイドライン第2章Ⅱ4①の表の「M&Aプロセス」ごとに、提供する主な業務を整理の上、適切な説明を行います(同表の「提供する主な業務」の列には例を記載。)。
- 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績について説明します。
- 契約締結前の説明において仮に依頼者から納得が得られず、仲介者・FAに対して業務や手数料に関する交渉が申し入れられた場合には、誠実に対応を検討します。
- (仲介者の場合)仲介契約締結前に、依頼者から受領する手数料に関する事項に加えて、相手方の手数料に関する事項(報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等についても、相手方を含めた手数料の総額がM&Aの成立やその条件(譲渡額等)に影響を与える可能性がある旨も含め、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、依頼者に対し説明します。
- 仲介契約締結前に説明した相手方の手数料を増額する場合には、増額の内容を依頼者に対し開示します。
- 依頼者の手数料を減額する場合には、当初説明した相手方の手数料を増額していない旨を依頼者に対して改めて説明します。
- (FAの場合)相手方を支援するFAから支払を受ける場合には、支払額や支払の名目、支払時期について依頼者に対し説明します。
- 上記10,11の説明は、契約を締結する権限を有する者(個人の場合には、当該個人。法人の場合には、代表者又は契約締結について委任を受けた者。)に対し行います。
- 上記10,11の説明の後、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与えます。
【バリュエーション(企業価値評価・事業評価)】
- バリュエーションの実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得ます。
【譲り受け側の選定(マッチング)】
- ネームクリア(譲り渡し側の名称を含む企業概要書等の詳細資料の開示)は、ノンネーム・シート(ティーザー)等の提示により、興味を示した候補先に対して、譲り渡し側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で、実施します。
- 譲り渡し側からの同意については、開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得します。
- 秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意します。
【交渉】
- 慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートします。
【デュー・ディリジェンス(DD)】
- デュー・ディリジェンス(DD)の実施に当たっては、譲り渡し側に対し譲り受け側が要求する資料の準備を促し、サポートします。
【最終契約の交渉・締結】
- 最終契約の締結までの期間において、譲り渡し側・譲り受け側の双方が可能な限り納得し、かつM&A 成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援します。
- 最終契約後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明を行います。具体的には、特に下記の対応を実施します。
- 譲り渡し側の経営者保証の扱いに関しては、譲り渡し側経営者と方針を相談の上、対応を検討します。
- 譲り渡し側経営者の経営者保証に係る意向を丁寧に聴取するとともに、士業等専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や保証の提供先である金融機関等に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨を説明します。
※ただし、金融機関等に対する事前相談については、M&A成立前に当該金融機関等に情報提供を行うことによる留意点(M&Aが成立しなかった場合における情報の扱い等)についても伝えた上で、譲り渡し側経営者の適切な判断を支援します。
- 譲り渡し側が経営者保証の扱いについて、士業等専門家や金融機関等に対して相談を希望する場合には、その実施を拒まず、仲介契約・FA契約等における秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外します。さらに、譲り受け側との契約において秘密保持条項がある場合には、譲り受け側に対して、秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外するよう働きかけます。
- 最終契約における経営者保証の扱いに関して、保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合には、最終契約において譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を明確に位置付けることを検討します。具体的には、譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を位置付けた上で、保証の解除又は移行のクロージング条件としての設定や仮に保証の移行がなされなかった場合を想定した条項(例えば、契約解除条項や補償条項等)を盛り込む方向で調整します。
※具体的な条件として、(a)譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に保証の提供先の金融機関等から保証の解除又は移行が実行できるか組織的な意向表明を取得すること、(b)当該意向表明の結果、保証の解除又は移行の手続を進めることができる場合には、譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に当該手続の上で必要となる書面を保証の提供先の金融機関等に提出するとともに、代表者の変更登記に係る必要書類の作成すること、を設定することが考えられます。
※その上で、万全を期す場合には、クロージング日に(必要に応じて金融機関等の同席の下で)代表者の変更登記の手続、保証の解除又は移行の手続を同時に実施することが考えられます。
※保証の解除又は移行を確実に実施するための手段としては、クロージング時に、譲り渡し側の経営者保証の対象となっている債務を譲り受け側の資力により返済し、別途譲り受け側が借り換えを行うといった方法も考えられます。
- 依頼者に対し、デュー・ディリジェンス(DD)は、譲り渡し側・譲り受け側双方にとって重要なプロセスである旨を説明します。
- 依頼者に対し、表明保証の内容はデュー・ディリジェンス(DD)の結果を踏まえて適切に検討されるべきであり、期間や責任上限が設定されていない場合や適用場面が一義的に明確でない規定が存在する場合、譲り渡し側が過大な表明保証責任を負担することとなり、当事者間で争いが生じるリスクがある旨を説明します。
- クロージング後の支払・手続、最終契約後の支払の調整・修正、最終契約後の譲り渡し側の資産・貸付金の整理、最終契約からクロージングまでの期間に関して、両当事者間での調整が十分になされていない段階において、本リスクを生じさせる条項やスキームを安易に提案せず、慎重に検討の上、仮に提案する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により、提案の際には、リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明します。
※本リスクを認識した段階で当事者に対し、当該リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明することが望ましい。
- 最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促します。
※最終契約の内容等に、最終契約締結後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスク事項が含まれることになった場合、改めて最終契約締結前に当該リスク事項の詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について、可能な限り具体的に説明することが望ましい。
【クロージング】
- クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上で、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認します。
○不適切な譲り受け側の排除に向けた取組
- 不適切な譲り受け側を最大限排除する観点から、以下の取組を実施します。
- 譲り受け側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲り受け側に対する調査を実施します。
- その上で、依頼者となる譲り渡し側に対しては、仲介契約・FA契約締結前(M&A プラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に、譲り受け側の調査の概要について、説明します。具体的には、ガイドライン第2章Ⅱ6(1)の表の「調査項目」ごとに、実施する調査の内容を検討し、依頼者への説明を行います。
- 詳細な調査の実施内容については、譲り受け側の財務状況及び事業実態の確認、譲り受け側(代表者、役員及び株主等の関係者を含む。)の反社会的勢力への該当性や過去にM&Aに関するトラブルを生じさせたかといったコンプライアンス面での確認が想定され、これらの観点から適切に調査を実施します。特に財務状況については、想定される程度の譲渡対価を調達可能であるかといった観点やM&A の実施後に対象事業を継続して運営できる状況にあるかといった観点から適切な確認を行います。
- 調査のタイミングとしては、譲り受け側との仲介契約・FA 契約締結前(M&Aプラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に加え、M&Aのプロセスが進捗する過程でも適切に必要な調査を実施し、最終契約の締結までに譲り受け側について十分に確認します。
- 調査の方法としては、譲り受け側の税務申告書や商業登記簿の確認、これらに記載のある代表者、役員及び株主等の関係者も含めたコンプライアンスチェックが想定されますが、特に譲り渡し側が債務超過の場合等、M&A の成立において譲り受け側の信用が特に重要となるケースにおいては特に慎重に調査を実施し、この場合においては譲り受け側の財務状況について、少なくとも決算公告や税務申告書の確認により適切な確認を実施します。
- 過去に支援を行った譲り受け側についての情報提供や業界内での情報共有の仕組み等により最終契約の不履行等の不適切な譲り受け側に係る情報を取得した場合には、当該情報を担当者レベルに留めず、組織的に共有し、当該譲り受け側に対するマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築します。
- 当該譲り受け側への新たな支援の実施については、取得した情報の内容を精査及び同様の行為による譲り渡し側への不利益の考慮により慎重に検討の上、仮に実施する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行います。
- (仲介者の場合)譲り受け側の不適切な行為に係る情報を得ている場合には、譲り渡し側に対して開示します。
○仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点
専任条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。
- 専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定します。具体的には、依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容します。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮します。
- 専任条項を設ける場合には、契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定めます。
- 依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等(口頭での明言も含む。)を設けます。
直接交渉の制限に関する条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。
- 直接交渉が制限される候補先は、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定します(依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先との M&A 成立に向けた支援をM&A 専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除く。)。
- 直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先の M&A に関する目的で行われるものに限定します。
- 直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA 契約が終了するまでに限定します。
テール条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。
- テール期間は最長でも2年~3年以内を目安とします。
- テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側であって、譲り渡し側に対して紹介された者のみに限定する。具体的には、ロングリスト/ショートリストやノンネーム・シート(ティーザー)の提示のみにとどまる場合はテール条項の対象としません。少なくともネームクリア(譲り受け側に対して企業概要書を送付し、譲り渡し側の名称を開示すること。)が行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定します。
※なお、ガイドラインにおいてはテール条項の対象としては、ネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきことを示しており、これを満たす場合においてすべからくテール条項の対象について有効性を認めるものではありません。
- 仲介契約・FA契約において専任条項が設けられていない場合に、依頼者が複数のM&A専門業者から支援を受け、結果として複数のM&A 専門業者から同一の候補先の紹介を受けた場合、依頼者から成約に向けて支援を受けるM&A専門業者として選択されなかった場合、テール条項を根拠とした手数料を請求しません。
○仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(※仲介業務を行わない場合は不要)
仲介業務を行う場合、特に以下の点を遵守して、行動します。
- 仲介契約締結前に、譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝えます。
- 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益の対立が想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行います。また、別途、両当事者間における利益の対立が想定される事項に係る情報(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示します。
- 両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行いません。
- 特に、仲介者自身又は第三者の利益を図る目的で当該利益相反行為を決して行わず、仲介契約書において、少なくとも、以下の行為を行わない旨を仲介者の義務として定めます。
- 譲り受け側から追加で手数料を取得し、当該譲り受け側に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)
- リピーターとなる依頼者を優遇し、当該依頼者に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等)
- 譲り渡し側(譲り受け側)の希望した譲渡額よりも高い(低い)譲渡額でM&A が成立した場合、譲り渡し側(譲り受け側)に対し、正規の手数料とは別に、希望した譲渡額と成立した譲渡額の差分の一定割合を報酬として要求する行為
- 一方当事者から伝達を求められた事項を他方当事者に対して伝達せず、又は一方当事者が実際には告げていない事項を偽って他方当事者に対して伝達する行為
- 一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を認識した場合に、当該情報を当該当事者に対して伝達せず、秘匿する行為
- 確定的なバリュエーションを実施せず、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。
- 参考資料として自ら簡易に算定(簡易評価)した、概算額・暫定額としてのバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、以下の点を両当事者に対して明示します。
- あくまで確定的なバリュエーションを実施したものではなく、参考資料として簡易に算定したものであるということ
- 当該簡易評価の際に一方当事者の意向・意見等を考慮した場合、当該意向・意見等の内容
- 必要に応じて士業等専門家等の意見を求めることができること
- 交渉においては、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益の実現を図ります。
- デュー・ディリジェンスを自ら実施せず、デュー・ディリジェンス報告書の内容に係る結論を決定しないこととし、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。
○その他
- 上記の他、中小M&Aガイドラインの趣旨に則った対応をするよう努めます。
以上
遵守事項一覧チェックシートに基づく確認
2024年12月6日
番号 | ☑ | 遵守事項 | 該当箇所 |
支援の質の確保・向上に向けた取組 | |||
善管注意義務(忠実義務)及び職業倫理 | |||
☑ | 依頼者との契約に基づく義務を履行する。履行が求められる義務の内容は下記のとおり。 | 80,81ページ | |
⑴ | ☑ | 善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって仲介業務・FA業務を行う。 | |
⑵ | ☑ | 依頼者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図らない。 | |
⑶ | ☑ | (仲介者の場合)いずれの依頼者に対しても公平・公正であり、いずれか一方の利益の優先やいずれか一方の利益を不当に害するような対応をしない。 | |
☑ | 契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として、依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応を行う。 | 81ページ | |
経営トップの意識 | |||
☑ | 代表者が、支援の質の確保・向上のため、①知識・能力向上、②適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識し、当該取組が重要である旨のメッセージを社内外に発信するとともに、発信したメッセージと整合的な取組を実施する。 | 81ページ | |
知識・能力の向上のための取組 | |||
☑ | 知識・能力の向上のため実効性のある取組を実施する。例えば、下記の取組。 ・自社が提供する支援の内容に応じて求める知識・能力の水準を可能な限り明らかにした上で、その水準に達するよう人材育成を行う(例えば、人材育成方針の策定・実施。社内研修の整備、社外の研修の受講支援等)。 ・知識・能力向上の取組や成果を適切に評価する(例えば、人事評価の一項目とし、適切に評価するとともに、報酬・給与に反映する等)。 | 82ページ | |
適正な業務遂行のための取組 | |||
☑ | 支援業務を行う役員や従業員における業務の適正な遂行を確保する。例えば下記の取組。 ・役員・従業員に適正な業務遂行の必要性等を理解させるとともに、適正な業務遂行を行う仕組みを作る(例えば、本ガイドラインを踏まえて、業務規程・業務マニュアルに業務遂行上のルールを記載する、業務上使用する各種書式を作成する等)。 ・適正な業務遂行のために適した体制で支援を実施する(例えば、M&Aの支援の経験や知識が十分でない者が業務を担当する場合には経験や知識が十分な者と業務を行わせる、その旨を社内規則等に定める等)。 ・善管注意義務や職業倫理に抵触する行為を把握するための仕組みや、これらの行為が見受けられた場合に適切に対応する仕組みを整備する(例えば、社内相談窓口の設置や、懲戒事由として規定し、適切に懲戒権を行使できる体制を整えておく等)。 ・依頼者から業務に関する苦情等を受け付け、適切に対応する仕組み・体制を整備する。 | 82ページ | |
☑ | (業務の一部を第三者に委託する場合)外部委託先における業務の適正な遂行を確保すること。例えば下記の取組。 ・委託する業務の内容に照らして、適切な委託先を選定する(例えば、選定基準を定め、当該基準に従い選定する等)。 ・第三者に業務の一部を委託する場合の情報の取扱い等が適切なものとなるようにし、依頼者に説明した上で、その了承を得る(例えば、委託元である M&A 専門業者が委託先に対し、依頼者に対し秘密保持義務を負う情報を提供する場合には、委託先に同様の秘密保持義務を負わせ、委託先からさらに第三者に対し情報が提供されないこととする等)。 ・委託先との契約において、委託する業務を明らかにする。委託先における委託業務の実施状況を委託元が合理的に把握するための規定を盛り込むことが望ましい。 ・委託先における委託業務の実施や情報管理の状況を適切に監督・指導する(例えば、委託先の管理に関する委託元における責任部署を明確化し、定期的又は必要に応じて業務の遂行状況を確認する等)。 ・委託業務に関する苦情等について委託元である M&A 専門業者が受け付け、適切に対応する(例えば、依頼者から委託元である M&A 専門業者への直接の連絡体制を設ける等)。 | 82,83ページ | |
各工程の具体的な行動指針 | |||
意思決定 | |||
☑ | 専門的な知見に基づき、中小企業に対して実践的な提案を行い、中小M&Aの意思決定を支援する。その際の留意点は下記のとおり。 | 84ページ | |
⑴ | ☑ | 当該中小M&Aにおいて想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明する。 | |
⑵ | ☑ | 相談者の企業情報の取扱いについても善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っていることを自覚する。 | |
☑ | 仲介契約・FA契約締結に向けて行う広告・営業については、以下の規律を遵守した上で、適切に実施する。 ※なお、広告・営業の実施にあたっては、職業倫理の遵守が求められるほか、仮に、過去の対応状況や頻度等に照らして、広告・営業先の中小企業の事業活動や経営者の生活に多大な支障を与えるような過剰なものである場合には、民法上の不法行為責任を負う可能性もあることに留意する。 | 84ページ | |
⑴ | ☑ | 広告・営業先からM&Aの実施意向がない旨、当該仲介者・FAと契約締結しない旨又は引き続き広告・営業を受けることを希望しない旨の意思(以下「停止意思」という。)を表示された場合には、停止意思を拒んではならず、ただちに広告・営業を停止する。 | |
⑵ | ☑ | 停止意思を表示した者に対し、仮に広告・営業を再開する場合には、慎重に検討の上、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行う。 | |
⑶ | ☑ | 広告・営業先から停止意思の表示があった場合については、その内容を組織的に記録し、共有する。 | 84,85ページ |
⑷ | ☑ | 広告・営業先の中小企業の意思決定を適切に支援する観点から、下記のような広告・営業は行わない。 | |
① | ☑ | 仲介者・FAの名称、勧誘を行う者の氏名、仲介契約・FA 契約の締結について勧誘する目的である旨を告げずに行う広告・営業 | |
② | ☑ | 仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定の上で必要な時間を与えず、即時の判断を迫る広告・営業 | |
③ | ☑ | M&Aの成立の可能性や条件等の仲介契約・FA契約を締結し、M&Aの手続を進めるか否かの意思決定に影響を及ぼす事項について、虚偽若しくは事実に相違する又は誤認を招くような広告・営業(例えば以下) ・譲り受け(譲り渡し)の意向が無い企業若しくはその意向を確認していない企業又は実際には存在しない企業に関して、譲り受け(譲り渡し)の意向があると偽り又はそのように誤認させるもの ・譲渡額の水準について過大なバリュエーションを提示するもの ・譲り渡し側(譲り受け側)の財務状況、今後の見通し等の情報について、事実に相違する、又は実際のものよりも優良であり、若しくは有利であると誤認させるもの ・その他M&A の成立の可能性やその条件について確定的な判断を下すもの | |
仲介契約・FA契約の締結 | |||
☑ | 業務形態の実態に合致した仲介契約・FA契約を締結する。 | 85ページ | |
☑ | 契約締結前に依頼者に対し仲介契約・FA契約に係る重要な事項について明確な説明を行い、依頼者の納得を得る。契約に係る重要な事項を記載した書面を交付(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)して説明する。説明すべき重要な点は下記のとおり。 | 86,87ページ | |
⑴ | ☑ | 譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と契約を締結し双方に助言する仲介者、一方当事者のみと契約を締結し一方のみに助言するFAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。) | |
⑵ | ☑ | 提供する業務の範囲・内容(バリュエーション、マッチング、交渉等のプロセスごとに提供する業務の範囲・内容) | |
⑶ | ☑ | 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績 | |
⑷ | ☑ | 手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等) | 87,88ページ |
⑸ | ☑ | 手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等) | |
⑹ | ☑ | (仲介者の場合)相手方の手数料に関する事項(算定基準、最低手数料、支払時期等) | |
⑺ | ☑ | 秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等) | |
⑻ | ☑ | 直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される候補先や交渉目的の範囲等) | |
⑼ | ☑ | 専任条項(セカンド・オピニオンの可否等) | |
⑽ | ☑ | テール条項(テール期間、対象となるM&A等) | |
⑾ | ☑ | 契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等) | |
⑿ | ☑ | 契約の解除に関する事項及び依頼者が、仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する場合には、当該中途解約に関する事項 | |
⒀ | ☑ | 責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等) ※なお、かかる条項を依頼者に対して説明することと当該条項の法的な効力の有無とは別の問題であり、説明したからといって法的な効力が認められる関係にはない。 | |
⒁ | ☑ | 契約終了後も効力を有する条項(該当する条項、その有効期間等) | |
⒂ | ☑ | (仲介者の場合)両当事者間において利益の対立が想定される事項 | |
⒃ | ☑ | (譲り渡し側への説明の場合)譲り受け側に対して実施する調査の概要(調査の実施主体、財務状況に関する調査、コンプライアンスに関する調査、事業実態に関する調査等) | |
⒄ | ☑ | (譲り渡し側への説明の場合)業界内での情報共有の仕組みへの参加有無(参加していない場合にはその旨) | |
☑ | 手数料・提供する業務の内容や相手方の手数料に関する事項については、以下に沿って説明する。 | 88ページ | |
☑ | 手数料に関する事項を明確に説明するとともに、当該手数料を対価として自らが提供する業務の内容を説明する。具体的には成功報酬において採用される報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等の手数料の算定基準や提供する具体的な業務の内容について書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明する。 | 88-92ページ | |
☑ | 提供する業務については、「M&Aのプロセス」ごとにどういった業務を提供するのか整理(各プロセスにおいて業務を提供しない場合には、その旨も含む。)を実施の上、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、説明する。具体的にはガイドライン第2章Ⅱ4①の表の「M&Aプロセス」ごとに、提供する主な業務を整理の上、適切な説明を行う(同表の「提供する主な業務」の列には例を記載。)。 | ||
☑ | 担当者の保有資格(例えば、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、その他会計に関する検定(簿記検定、ビジネス会計検定等)等)、経験年数・成約実績について説明する。 ※なお、担当者の経験・専門的知見を補うために案件をサポートする者がいる場合には、サポートの内容とともに当該者の保有資格、経験年数・成約実績についても説明することが望ましい。 | ||
☑ | 契約締結前の説明において仮に依頼者から納得が得られず、仲介者・FAに対して業務や手数料に関する交渉が申し入れられた場合には、誠実に対応を検討する。 | ||
☑ | (仲介者の場合)仲介契約締結前に、依頼者から受領する手数料に関する事項に加えて、相手方の手数料に関する事項(報酬率、報酬基準額(譲渡額/純資産/移動総資産等)、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金/月額報酬/中間金/成功報酬)等についても、相手方を含めた手数料の総額がM&Aの成立やその条件(譲渡額等)に影響を与える可能性がある旨も含め、書面を交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、依頼者に対し説明する。 | ||
☑ | 仲介契約締結前に説明した相手方の手数料を増額する場合には、増額の内容を依頼者に対し開示する。 ※なお、依頼者との間で相手方の手数料を増額する場合に開示が必要となる基準について、予め合意し、当該基準に基づいて開示を行う場合には、当該基準は具体的かつ定量的な基準として定める。 ※少なくとも、報酬率、報酬基準額、最低手数料それぞれについて、依頼者に説明した当初の額から増額となる変更を行う場合に開示が必要となる基準を依頼者との間で合意する。その他の増額となる変更についても、定額又は定率の定量的な増額幅が確定する変更については定量的な基準により、増額幅が確定しない変更についてはその取扱いについて合意する。 | ||
☑ | 依頼者の手数料を減額する場合には、当初説明した相手方の手数料を増額していない旨を依頼者に対して改めて説明する。 | 92ページ | |
☑ | (FAの場合)相手方を支援するFAから支払を受ける場合には、支払額や支払の名目、支払時期について依頼者に対し説明する。 | ||
☑ | 上記10,11の説明は、契約を締結する権限を有する者(個人の場合には、当該個人。法人の場合には、代表者又は契約締結について委任を受けた者。)に対し行う。 | 86ページ | |
☑ | 上記10,11の説明の後、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与える。 | ||
バリュエーション(企業価値評価・事業評価) | |||
☑ | バリュエーションの実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得る。 | 92ページ | |
譲り受け側の選定(マッチング) | |||
☑ | ネームクリア(譲り渡し側の名称を含む企業概要書等の詳細資料の開示)は、ノンネーム・シート(ティーザー)等の提示により、興味を示した候補先に対して、譲り渡し側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で、実施する。 | 93ページ | |
☑ | 譲り渡し側からの同意については、原則として開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得する。 ※なお、原則としては個別に同意の取得となるが、仮に譲り渡し側が、早期のマッチングを希望する場合等に、個別の同意によるのではなく、一定の基準の下で、仲介者・FAがネームクリア先を選定する際には、以下を実施する。 ①譲り渡し側に対し、下記の事項を明示的に説明し、譲り渡し側がこれらについて十分に理解した上で、一定の基準の下で仲介者・FAがネームクリア先を選定することによるメリットを優先する意向があることを確認する。 ・秘密保持の観点からは、譲り渡し側が希望する先に絞ってネームクリアを行うため、開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得することが通常であること ・一定の基準を設定したとしても、ネームクリアを一任することにより、譲り渡し側が希望しない候補先に対する開示が行われるリスクがあること ②譲り渡し側の希望を踏まえ、ネームクリアを行う先に係る可能な限り具体的な基準(希望する業種・所在地等、排除する個社(取引先、同業他社等)等)を設定する。 ③譲り渡し側からの指示があった場合には、速やかにネームクリアを中止する旨、明示的に確約する。 | ||
☑ | 秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意する。 | 94ページ | |
交渉 | |||
☑ | 慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートする。 | 94ページ | |
デュー・ディリジェンス(DD) | |||
☑ | デュー・ディリジェンス(DD)の実施に当たっては、譲り渡し側に対し譲り受け側が要求する資料の準備を促し、サポートする。 | 95ページ | |
最終契約の交渉・締結 | |||
☑ | 仲介者・FAは、最終契約の締結までの期間において、譲り渡し側・譲り受け側の双方が可能な限り納得し、かつM&A 成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援する。 | 95ページ | |
☑ | 仲介者・FAは、最終契約後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明を行う。具体的には、それぞれのリスクの重要性に鑑みて、特に下記の対応を実施する。 | 95,96ページ | |
☑ | 認識の有無に関わらず対応するリスクとして、譲り渡し側の経営者保証の扱いに関しては、仲介者・FAは、譲り渡し側経営者と方針を相談の上、対応を検討する。 | ||
☑ | 譲り渡し側経営者の経営者保証に係る意向を丁寧に聴取するとともに、士業等専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や保証の提供先である金融機関等に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨を説明する。 ※ただし、金融機関等に対する事前相談については、M&A成立前に当該金融機関等に情報提供を行うことによる留意点(M&Aが成立しなかった場合における情報の扱い等)についても伝えた上で、譲り渡し側経営者の適切な判断を支援する。 | ||
☑ | 譲り渡し側が経営者保証の扱いについて、士業等専門家や金融機関等に対して相談を希望する場合には、仲介者・FAは、その実施を拒まず、仲介契約・FA契約等における秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外する。さらに、譲り受け側との契約において秘密保持条項がある場合には、譲り受け側に対して、秘密保持条項の対象から相談先の士業等専門家や金融機関等を除外するよう働きかける。 | ||
☑ | 最終契約における経営者保証の扱いに関して、保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合には、仲介者・FAは、最終契約において譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を明確に位置付けることを検討する。具体的には、譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を位置付けた上で、保証の解除又は移行のクロージング条件としての設定や仮に保証の移行がなされなかった場合を想定した条項(例えば、契約解除条項や補償条項等)を盛り込む方向で調整する。 ※具体的な条件として、(a)譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に保証の提供先の金融機関等から保証の解除又は移行が実行できるか組織的な意向表明を取得すること、(b)当該意向表明の結果、保証の解除又は移行の手続を進めることができる場合には、譲り受け側が、最終契約締結後・クロージング前に当該手続の上で必要となる書面を保証の提供先の金融機関等に提出するとともに、代表者の変更登記に係る必要書類の作成すること、を設定することが考えられる。その上で、万全を期す場合には、クロージング日に(必要に応じて金融機関等の同席の下で)代表者の変更登記の手続、保証の解除又は移行の手続を同時に実施することが考えられる。 ※また、保証の解除又は移行を確実に実施するための手段としては、クロージング時に、譲り渡し側の経営者保証の対象となっている債務を譲り受け側の資力により返済し、別途譲り受け側が借り換えを行うといった方法も考えられる。 | 96,97ページ | |
☑ | 認識の有無に関わらず対応するリスクとして、デュー・ディリジェンス(DD)の非実施に関して、仲介者・FAは、依頼者に対し、デュー・ディリジェンス(DD)は、譲り渡し側・譲り受け側双方にとって重要なプロセスである旨を説明する。 | ||
☑ | 認識の有無に関わらず対応するリスクとして、表明保証に関して、仲介者・FAは、依頼者に対し、表明保証の内容はデュー・ディリジェンス(DD)の結果を踏まえて適切に検討されるべきであり、期間や責任上限が設定されていない場合や適用場面が一義的に明確でない規定が存在する場合、譲り渡し側が過大な表明保証責任を負担することとなり、当事者間で争いが生じるリスクがある旨を説明する。 | ||
☑ | 認識した段階で対応するリスクとして、クロージング後の支払・手続、最終契約後の支払の調整・修正、譲り渡し側の資産・貸付金の最終契約後整理、最終契約からクロージングまでの期間に関して、両当事者間での調整が十分になされていない段階において、本リスクを生じさせる条項やスキームを安易に提案せず、慎重に検討の上、仮に提案する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により、提案の際には、リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明する。 ※仲介者・FAは、本リスクを認識した段階で当事者に対し、当該リスクの詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について可能な限り具体的に説明することが望ましい。 | ||
☑ | 最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促す。 ※最終契約の内容等に、最終契約締結後・クロージング後に当事者間での争いに発展する可能性があるリスク事項が含まれることになった場合、改めて最終契約締結前に当該リスク事項の詳細とリスクが顕在化した場合に生じうる結果について、可能な限り具体的に説明することが望ましい。 | 98ページ | |
クロージング | |||
☑ | クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認する。 | 98ページ | |
不適切な譲り受け側の排除に向けた取組 | |||
☑ | 不適切な譲り受け側を最大限排除する観点から、以下の取組を実施する。 | 100,101ページ | |
☑ | 仲介者・FA は、譲り受け側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲り受け側に対する調査を実施する。その上で、依頼者となる譲り渡し側に対しては、仲介契約・FA契約締結前(M&A プラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に、譲り受け側の調査の概要について、説明する。具体的には、ガイドライン第2章Ⅱ6(1)の表の「調査項目」ごとに、提供する主な業務を整理の上、実施する調査の内容を検討し、依頼者への説明を行う必要がある(同表の「調査の概要」の列には例を記載。)。 | ||
☑ | 詳細な調査の実施内容については、譲り受け側の財務状況及び事業実態の確認、譲り受け側(代表者、役員及び株主等の関係者を含む。)の反社会的勢力への該当性や過去にM&A に関するトラブルを生じさせたかといったコンプライアンス面での確認が想定され、これらの観点から適切に調査を実施する。特に財務状況については、想定される程度の譲渡対価を調達可能であるかといった観点やM&A の実施後に対象事業を継続して運営できる状況にあるかといった観点から適切な確認を行う。 | ||
☑ | 調査のタイミングとしては、譲り受け側との仲介契約・FA 契約締結前(M&Aプラットフォーマーの場合には、M&A プラットフォームへの登録前)に加え、M&Aのプロセスが進捗する過程でも適切に必要な調査を実施し、最終契約の締結までに譲り受け側について十分に確認する。 | ||
☑ | 調査の方法としては、譲り受け側の税務申告書や商業登記簿の確認、これらに記載のある代表者、役員及び株主等の関係者も含めたコンプライアンスチェックが想定される。特に、譲り渡し側が債務超過の場合等、M&A の成立において譲り受け側の信用が特に重要となるケースにおいては特に慎重な調査の実施が必要であり、この場合においては譲り受け側の財務状況について、少なくとも決算公告や税務申告書の確認により適切な確認を実施する。 | ||
☑ | 過去に支援を行った譲り受け側についての情報提供や業界内での情報共有の仕組み等により最終契約の不履行等の不適切な譲り受け側に係る情報を取得した場合には、当該情報を担当者レベルに留めず、組織的に共有し、当該譲り受け側に対するマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築する。 | 102,103ページ | |
☑ | 当該譲り受け側への新たな支援の実施については、取得した情報の内容を精査及び同様の行為による譲り渡し側への不利益の考慮により慎重に検討の上、仮に実施する場合には、組織的な判断(明確化された基準の下での一担当者限りではなく組織的なプロセスによる判断であって、組織的に記録され、事後に検証可能であるものをいう。)により行う。 | ||
☑ | (仲介者の場合)譲り受け側の不適切な行為に係る情報を得ている場合には、譲り渡し側に対して開示する。 | ||
仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点 | |||
専任条項の留意点 | |||
☑ | 専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定する。依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容する。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮する。 | 103,104ページ | |
☑ | 専任条項を設ける場合には、仲介契約・FA契約の契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定める。 | ||
☑ | 依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等(口頭での明言も含む。)を設ける。 | ||
直接交渉の制限に関する条項の留意点 | |||
☑ | 直接交渉が制限される候補先は、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定する。 ※依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先との M&A 成立に向けた支援をM&A 専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除く。 | 104ページ | |
☑ | 直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先のM&Aに関する目的で行われるものに限定する。 | ||
☑ | 直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA 契約が終了するまでに限定する。 | 104ページ | |
テール条項の留意点 | |||
☑ | テール期間は最長でも2年~3年以内を目安とする。 | 104,105ページ | |
☑ | テール条項の対象となる事業者を、当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側だけでなく、無限定とする場合には、譲り渡し側が当該M&A専門業者の手数料の発生(場合によってはこれに関する紛争リスク)を懸念し、新しくM&Aを実行すること自体を断念せざるを得なくなってしまうおそれがある。したがって、テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側であって、譲り渡し側に対して紹介された者のみに限定する。 | ||
☑ | ロングリスト/ショートリストやノンネーム・シート(ティーザー)の提示のみにとどまる場合はテール条項の対象としない。少なくともネームクリア(譲り受け側に対して企業概要書を送付し、譲り渡し側の名称を開示すること。)が行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定する。 ※ネームクリアは、ノンネーム・シート(ティーザー)に興味を示した候補先に対して、原則、譲り渡し側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で、実施する。 ※なお、ガイドラインにおいてはテール条項の対象としては、少なくともネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきことを示しており、これを満たす場合においてすべからくテール条項の対象について有効性を認めるものではない。 | ||
☑ | 仲介契約・FA契約において専任条項が設けられていない場合に、依頼者が複数のM&A 専門業者から支援を受け、結果として複数のM&A 専門業者から同一の候補先の紹介を受けた場合、依頼者から成約に向けて支援を受けるM&A専門業者として選択されなかった場合、テール条項を根拠とした手数料を請求しない。 | ||
仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(※仲介業務を行わない場合は不要) | |||
☑ | 仲介契約締結前に、譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝える。 | 99ページ | |
☑ | 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益の対立が想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行う。また、別途、両当事者間における利益の対立が想定される事項に係る情報(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示する。 | ||
☑ | 両当事者から依頼を受ける以上、両当事者に対して中立・公平でなければならず、不当に一方当事者の利益又は不利益となるような利益相反行為を行わない。 | 99ページ | |
☑ | 特に、仲介者自身又は第三者の利益を図る目的で当該利益相反行為を決して行わず、仲介契約書において、少なくとも、以下の行為を行わない旨を仲介者の義務として定める。 | 99,100ページ | |
⑴ | ☑ | 譲り受け側から追加で手数料を取得し、当該譲り受け側に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等) | |
⑵ | ☑ | リピーターとなる依頼者を優遇し、当該依頼者に便宜を図る行為(当事者のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価額への誘導等) | |
⑶ | ☑ | 譲り渡し側(譲り受け側)の希望した譲渡額よりも高い(低い)譲渡額でM&A が成立した場合、譲り渡し側(譲り受け側)に対し、正規の手数料とは別に、希望した譲渡額と成立した譲渡額の差分の一定割合を報酬として要求する行為 | |
⑷ | ☑ | 一方当事者から伝達を求められた事項を他方当事者に対して伝達せず、又は一方当事者が実際には告げていない事項を偽って他方当事者に対して伝達する行為 | |
⑸ | ☑ | 一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を認識した場合に、当該情報を当該当事者に対して伝達せず、秘匿する行為 | |
☑ | 確定的なバリュエーションを実施せず、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える。 | 99ページ | |
☑ | 参考資料として自ら簡易に算定(簡易評価)した、概算額・暫定額としてのバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、以下の点を両当事者に対して明示する。 | 93ページ | |
⑴ | ☑ | あくまで確定的なバリュエーションを実施したものではなく、参考資料として簡易に算定したものであるということ | |
⑵ | ☑ | 当該簡易評価の際に一方当事者の意向・意見等を考慮した場合、当該意向・意見等の内容 | |
⑶ | ☑ | 必要に応じて士業等専門家等の意見を求めることができること | |
☑ | 交渉において、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益の実現を図る。 | 94ページ | |
☑ | DDを自ら実施せず、DD報告書の内容に係る結論を決定しないこととし、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える。 | 95ページ | |
上記以外の中小M&Aガイドライン記載事項について | |||
☑ | 上記の他、中小M&Aガイドライン中「M&A専門業者」に関する記載事項について中小M&Aガイドラインの趣旨(*)に則った対応をするよう努める。 | – |
*中小M&Aガイドラインでは、「M&Aに関する意識、知識、経験がない後継者不在の中小企業の経営者の背中を押し、M&Aを適切な形で進めるための手引きを示すとともに、これを支援する関係者が、それぞれの特色・能力に応じて中小企業のM&Aを適切にサポートするための基本的な事項を併せて示す」ことが示されている(13ページ)